「あたしだって周りを巻き込みたくないよ。みんなを危険な目に遭わせたくない」


あの大馬鹿ヤローのせいで、俺様悪魔のせいで、この学校で厄介事を引き起こされたり、そのせいで生徒たちが巻き込まれるのは嫌だ。

それを阻止する方法があるのなら知りたいし、そのためにあたしにできることがあるのなら、あたしは全力でその務めを果たしたい。


「アキだって、分かってるでしょ。アキが言おうとしてるのは、あたしにしかできないことだって」


アキがわざわざ身内の危険を承知で、言葉を詰まらせてまで頼むことだ、きっとあたしにしかできないことだろう。


「アキ、お願い。教えて。あたしは、何をしたらいい?」


するとアキは「ほんと、佐奈には適わないよ」と困ったように眉を下げて笑った。

「じゃあ、言うね」

アキは一つ深呼吸をすると、まっすぐにあたしを見つめた。




「学校にいる間、リドのそばにずっといてほしいんだ」



アキが言った言葉は、俄かには信じられないことだった。


「は?」


「だから、リドのそばにずっといてほしいって言ったんだけど」


「うん、それは聞こえているんだけどどういう意味なのかさっぱりこれっぽっちも理解できなくてですね」


「まあ、そうだろうね」とアキは笑った。

それを分かっていたのならちゃんと説明してほしい。