そのときだ。



「おいおいおい、ちょっとちょっと、いきなりそういうの困るよ~。お二人さん、何をイチャついてんのかね~?」



理仁《りひと》くんの声と、起き上がる気配。


ぼくに目隠しをしたまま、リアさんが嬉しそうな声を上げた。



「よかった、理仁! 鈴蘭ちゃんも煥《あきら》くんも! みんな大丈夫そうね」


「おれらもそんなに軟弱じゃねぇし~」



駆け寄ってくる足音は鈴蘭さんだろう。


と思った三秒後、ぼくはリアさんに押しのけられた。


リアさんは、飛び付いてきた鈴蘭さんを抱きしめる。



「リアさん、目を覚ましてくれてよかったですー!」


「苦労させちゃってゴメンね」



ダメだ、あのドレス。どうしても胸に目が行く。


小柄な鈴蘭さんの顔の位置がうらやましすぎる。