なんか懐かしいこと思い出したな。

 秋を見ると、秋も丁度俺を見てて、ちょっと笑える。

「ん?」

「いや、中学の時、全国連れてくって約束したなって」

「…そうだったね。瞬、本当に連れて行くんだもんびっくりした」

「俺はお前の手当に驚いたけどな」

 全国の準決勝の試合で足をひねった俺は、流石に無理かと諦めかけた。

 でも、秋がテーピングしてくれて、驚くほど簡単に動けたんだ。

 秋のおかげもあって、無事に全国制覇できたわけだ。

「絶対、勝ってほしいって思ったから」

「ありがとな」

「ううん。瞬がいてくれたから私、高校にも通えたんだよ。だから、ありがとう」

「…なんか照れくさ」

「だね」

 何となく笑って、あっついと言って立ち上がる。

 帰るかと笑って、今度こそ秋の家に向かった。