役立たず姫の一生〜永遠の誓いを貴女に〜

ーーアゼル、少し話をしないか。

ランス公は俺の返事を待たずに歩き出すので、俺は渋々彼の後をついていく。

正直に言えば、あまり気乗りしない。
俺にとって、楽しい話でないことは分かりきっているのだから。


「アゼル。お前の目から見て、エレーナ殿下はどうだ?」

「・・・殿下はお優しく、聡明で、私などには本当に勿体無いお方ですよ」

王女殿下の婚約者として当たり障りのない返答をした俺を、ランス公は鋭い眼光で見据えた。

「ふん。わかっているくせに、はぐらかすな」

視線がぶつかり、まるで睨み合うかのように互いに目を逸らさなかった。

俺は、はぁと小さく溜息を落とす。どうやら、こちらが折れるしか無さそうだ。

ランス公の質問の意図などわかりきっている。

「為政者としての殿下の資質ですか?」

「そうだ」

ランス公は満足そうに頷くと、俺の言葉を待った。

「ーーランス公はどう思われました?
殿下にお会いになったのでしょう?」

「期待以上だった。少なくとも役立たず姫などと呼ばれる方ではないな」

「・・・・」

その通りだ、エレーナは決して役立たず姫なんかじゃない。
彼女が正当に評価されたことを、まるで自分のことのように誇らしく思った。

けれど同時に、彼女の価値を知るのは自分だけでいいのだとも思う。