うーん、と考える。


「……泣き寝入り? というかむしろ、私なんかでごめんなさい?」

「…………不合格!」


っはー、と彼は深々と嘆息して、私をびしりと指差して警告。


「おねーさん、美人なんだからそんな危機管理ずさんじゃ駄目。ちゃんと女の人だって自覚持って。それは俺にも迷惑だ」


美人とか。美人とか……!


この人、褒めるポイントをよく分かっている。


美人、なんて言われたらもう、それだけで頷くよ私は。


殊勝に頷いた私に、最後にもいっこね、と彼はひどく優しくこちらを覗き込んだ。


「今さ?」

「うん」

「さみしーですか、おねーさん」

「っ」


蠱惑的に微笑む彼に、素直に頷く。


「……うん。さみしいです」


温くなってきたペットボトルを握る。


寂しいかなんて、聞かれないと分からなかったけど。


ずっとずっと、意識しないように押し込めていたけど。


答えはきっと、合っている。


くしゃりと前髪を乱した彼の手が、ついでのように私の髪も乱していく。


「…………しょうがないな。合格」


馬鹿だねと笑った彼は、そっと私の手を引いた。