実際、日菜子が目を覚まさないのをいいことに告白もされまくるし、

だけど、

それでも、俺は日菜子しか愛せないから。


「…これだけは譲れません。

日菜子は、絶対俺の手で幸せにしてみせます。」

そう言い切った俺に目を見開いて、

ポロポロ涙をこぼしていく大翔くん。

「…日菜子は、幸せ者だな。

なんで、なんで、日菜子は目を覚まさないんだよっ!」

そう言って日菜子が眠るベッドに勢いよく拳を置いた。

だけど、当たり前に日菜子は目を覚まさなくて、

安らかに眠ってる。

そんな日菜子を見つめながら俺も大翔くんも涙を流し続けた。


気づけばもう、7時前。

面会終了時刻だ。

帰らなきゃな。

そう思って、スクバを持つと、

「あ、送ってくよ。」

そう言って大翔くんも立ち上がった。

「いや、大丈夫ですよ。」

そう言えば、

「いいよ、通り道だし。」

そう言って笑った大翔くんの言葉に甘えて、

送ってもらった。


家について、いつもの癖でスマホを開いて、

《日菜子、今日も日菜子のこと好きだよ。》

いつものように気づけばラインをしていた。


だけど、いつまでも既読になることはなくて、

スマホを壁に叩きつけて、泣き崩れた。