日菜子side

大翔の話を聞いて私は涙が止まらなくなった、

大翔が私の部屋に出て行く前に、

「お兄ちゃん!ありがとう。」

そう言うと驚いた顔をした大翔、ううん

お兄ちゃんが振り向くと嬉しそうに笑って、

代わりに大輝の背中を私の部屋へと押した。

大輝と2人になって、蘇ってくるのは、

あのキスと

お兄ちゃんの、

『日菜子が大輝信じなくて、誰が大輝を信じるんだよ』



『お前がモヤモヤしてるのは、きっとその先にある不安なんだよ。』

と言われて浮かぶのは、1つだけ。

意を決して、

大輝に聞こう。

と顔を上げた瞬間、

ふわっ、

ギュッ。

大輝に抱きしめられた。

ごめん、ごめん。

と言いながら私の腕の中で震える大輝。

「…もういいよ。

怒ってないよ。

ごめんね、大輝信じるって決めたのに。

でもね、不安なんだ。」

ぽつりと溢れた涙を拭おうともせずただ、大輝の肩に顎を乗せて、扉をじっと見つめながら、

「…夏休みにあった大輝と同じ香りのあの人は、

誰?

優香とどういう関係があるの?

…あの人は、大輝のなに?」