「賢ちゃんの馬鹿!!」




あたしはその胸にぎゅっとされ、涙を流した。

すぐ泣く弱い女は嫌い。

そう思っていたのに、賢ちゃんに会って、あたしは泣いてばっかりだ。





「賢ちゃん……」




その名を呼ぶだけで、心が震える。

すごくすごく会いたくなかったのに、会えるとホッとする。

弱いあたしが顔を出す。





「賢ちゃん……あたし……やっちゃった」



「うん」



「あたしのせいで……台無しだった」



「……うん」




賢ちゃんは何も言わず、ただあたしをぎゅっとして聞いてくれたんだ。

ここはテレビ局の前だというのに。

たくさんの人があたしたちの横を通り過ぎていくというのに。