あたしたちは、それに聴き入っていた。

複雑なベースに、狂ったようなギター。

切なくも、少し色っぽい歌声。

そして、彼のドラムに。

ときには落ち着いて、ときにはその存在を誇示して。

あたしたちは、その世界に入り込んでしまう。







「奴ら、やっぱり天才だな」




ぽつりと悠真が言う。





これを聞いて思う。

あたしたちがFと争ったなんて、無謀だったと。

Fは、絶対的王者だ。





だけど……




「ま、お前らとは方向性が違うからな」




またまたスタジオにいて、のんきにジュースを飲んでいる賢ちゃんが言う。

そんな賢ちゃんに、やっぱり突っかかるあたし。




「賢ちゃん、馬鹿にしてるの?

貶すなら帰ってよ!!」



「おいおい、それはねぇだろ」




賢ちゃんは困った顔をする。