「オーナー、また奥さん連れてきてくださいよ」



そう言う上田さんに、



「上田のところには絶対行かせねぇ」



賢ちゃんは口を尖らせて言う。

そして、



「咲良!よく覚えておけ!!

上田がお前を誘惑しても、俺にしておけ!

俺の包丁さばきはすげぇよ!!

俺の包丁もすげぇんだよ!!!」





馬鹿だ。

やっぱり賢ちゃんは馬鹿だ。

そして、かっこいいと思ったらこれだ。





「オーナー……

キモいから、やめてください」




上田さんがあからさまに嫌な顔をする。

そして、賢ちゃんは満足げに食洗機のスイッチを入れた。





いつもの賢ちゃんだけど、また一つ好きになった。

離れられなくなった。

もっともっと賢ちゃんのことを知りたいな。

そして、もっともっと好きになるんだ。