それから、あたしたちは旅行を楽しんだ。

自然と多恵さんに対する劣等感は消えていった。

賢ちゃんがぎゅっとしてくれたからかもしれない。

賢ちゃんのおかげで安心出来たんだ。






旅館のゲームコーナーで、太鼓の達人をやった。

なんと、慎吾さんが軽々賢ちゃんを打ち負かす。

賢ちゃんは本当に太鼓の達人が苦手なのかもしれない。





「慎吾、やり込みすぎて、全部覚えてるからな」




賢ちゃんは苦笑いしていた。





「でも、ダブルストロークが出来ないから、得点が伸びない」



「それだけ高けりゃいいだろ。

……つーか、そんなの使うのか?」




そう聞いた賢ちゃんに、



「賢一はまだまだだな」



慎吾さんは得意げに言っていた。