だけど……





「やべぇ。緊張するな」




賢ちゃんは言った。

そんな賢ちゃんを改めて見る。





黒いスーツにネクタイ。

そして、ピアスにいつものハット。

その薬指には、プラチナの指輪が光った。

あたしは白色のワンピースを身を纏い、左手には結婚指輪と一千万の婚約指輪がきらきらと輝いていた。







「賢ちゃんでも緊張するの?」



「当たり前だろ。

マジで逃げたいし。

でも、ここはしっかりしておかねぇとな」



「うん……」




あたしは頷く。

そして、賢ちゃんの手をぎゅっと握った。

あたしの大好きな大きくて温かい手。

賢ちゃんも、あたしの手を優しく握り返してくれる。