ぼんやりと賢ちゃんの横顔を見ていたあたし。

ふと前を向くと、なんとカメラがこっちを撮っていて。

慌ててカメラを見て笑い、手を振る。




不意打ちも不意打ちだ!

今日は気が抜けない!!






「咲良も大変だね」




光樹があたしに言う。




「カッコイイ恋人と共演なんて、日本中が期待してる」





賢ちゃんにも聞こえているだろう。

いや、わざと聞こえるように言っているんだろう。





「僕だったらもっと咲良に優しくして、好きってアピールするのにな」





何も知らないくせに!

賢ちゃんは光樹よりずっと優しいよ!!

その言葉が喉元まで出かかったが、ぐっとこらえた。