ー咲良sideー
あたしは、賢ちゃんの腕の中で賢ちゃんの話を聞いた。
初めて聞く、賢ちゃんのこと。
その話はあたしの胸を焦がし、身体を熱くさせた。
「こんな話するの、咲良が初めてだからな」
賢ちゃんはそう言う。
その言葉がすごく嬉しい。
大切にされているなって実感する。
そして、ますます賢ちゃんが好きになる。
「初めてだ。
こんなに人を好きになったのも」
その声が心地よくて、耳を甘く焦がして。
あたしは賢ちゃんにしがみついた。
この時間が永遠とだったらいいのに。
あたしは、もう賢ちゃんと離れられない。