「咲良……」




賢ちゃんはあたしを見て、頬を緩める。

あたしの大好きな、優しい賢ちゃんの顔だ。





「咲良、お前マジ可愛すぎ」





そんなこと言うの、やめてよ。

賢ちゃんからますます離れられなくなるよ?





だけど……





「やべぇな。

明日から、しばらくゆっくり出来ねぇのに」




思いがけない賢ちゃんの言葉に、賢ちゃんを凝視した。




「優弥が夏フェスという爆弾を落としやがったから。

明日から、マジで練習だ」





そうなんだ。

賢ちゃん、いつも暇そうにしていたけど、やっぱり練習するんだ。

そりゃ、そうだよね。

だって、賢ちゃんはFだもん。

いつもはこんなに身近なお馬鹿だけど、すごいすごい人なんだもん!






だけどね、やっぱり寂しい。

賢ちゃんの家に引っ越して、これでいつでも会えると思ったのに。