「賢ちゃん腱鞘炎なんだし、作らなくていいよ。
今日はあたしが作る」
「は……」
賢ちゃんは驚いた顔であたしを見ていて。
「賢ちゃんよりは下手だから……
笑わないでね」
あたしの言葉に、すごく嬉しそうな笑顔になる。
その笑顔が、胸をじーんと温かくする。
大好きだって思わせる。
賢ちゃんが恐ろしく料理上手だから、怖くて出来なかったんだ。
だけど、たまにはあたしも賢ちゃんに料理を作ってあげたい。
「マジで?
咲良の手料理か!?
愛妻料理か?」
だめだよ、そんなこと言っちゃ。
あたしの胸、またドキドキしてしまう。
それでもやっぱり賢ちゃんは賢ちゃんだった。
「咲良の料理とか、何でも食べれる!
例えウンコ出されても……」
「賢ちゃんの、大馬鹿!!」
あたしは再び叫んでいた。