やがて夕方になって、悠真は去っていった。
なんだか賢ちゃんと二人になると、やたら緊張してしまって。
妄想が妄想を呼んで。
昨日の甘い時間を思い出してしまう。
駄目だ、あたしは中毒だ。
だけど賢ちゃんはいつも通りで。
むしろ、甘い賢ちゃんが嘘だったのかと思うほどだった。
「咲良。
今日は面倒だからうどんでいいか?」
「はぁ?
うどんとか、クオリティー下がりすぎ!!」
わざと言ってやる。
すると、
「咲良、俺のうどんを知らねぇのか!?
それなら分からせてやる!
俺のうどんはすげぇよ!!
俺のスティ……」
「馬鹿ぁ!!」
あたしは叫んでいた。
そして、いつものように笑う。
こんな普通の生活が、すごく幸せなんだ。
賢ちゃんと笑っていられることが、すごく幸せなんだ。