ビルから出ると、



「咲良」



あたしの大好きな声で呼び止められた。

その声を聞くと、胸がキュンキュンいう。

はやく会いたい。

そして、はやく謝りたい。

ちゃんと伝えないと、賢ちゃんが大好きだって。







賢ちゃんは、珍しくジャケットを着ていた。

なんだかかしこまった賢ちゃん。

そして、ジャケット姿もかっこいい。





賢ちゃんはいつもの優しい顔であたしを見ていて、ホッとした。

だけど、賢ちゃんはホッとしなかったのだろう。




「咲良……」




すごく動揺して、あたしの頬に触れる。