賢ちゃんはあたしを見たまま、ほっとした顔になる。




「やべぇ。

またフラれたら、どうしようかと思った」





嘘つき。

賢ちゃん、分かってたでしょ?

あたしが快諾することくらい。

むしろ、喜ぶことくらい。

あたしは、自分の気持ちも隠すことが出来ないほど、賢ちゃんに惚れている。





「ま、そういうことで、明日引っ越し屋が来るから」




なんと、賢ちゃんは引っ越し屋の手配までしてくれたようで。

用意周到だ。

さすがチャラ男。





だけど……





「咲良もいつまでもここに住むの、危ねぇからな」




ぽろりと出た賢ちゃんの本音に、思わず聞き返していた。




「なんで?」