花音はまっすぐ僕を見るとこう言い放った。


「だから何？」


花音のこういうところがかっこいいと心底思う。

きっぱり、はっきり、すっきり、さっぱり。単純明快、一目瞭然。分かりやすいことこの上ない。

そんなかっこいい性格をしている花音がどうして僕なんかのことを好きになるのか、それだけは理解できなかった。

僕と花音は小学生の頃から仲が良かった。

今と変わらず誰に対しても明るくっていつもすぐに友達を作ってしまう花音。けれど僕は花音とは正反対のやつで、誰かに話しかけることを怖がって、ずっと黙っていた。

そんな僕に最初に話しかけてくれたのは花音で、僕たちはすぐに仲良くなって、今ではなんだって話すことができる関係にまでなった。

そんな花音がこの前僕に言ったのだ。

好きだと、その気持ちを。

僕は答えられなかった。

他に好きなひとがいたから。

花音はそれも知ってるって言った。

知った上で言ったんだ、と。


それでも失恋は失恋だ。

だからこんな話はしたくないのでは、と思ったんだけど、花音は僕の想像の上を行くらしい。


「それくらいのことで傷つくような花音様じゃないわ」


だって。

花音は相当強い女の子だ。