亜里沙はあたしの凱斗への気持ちを知っている。
だからこそあたしが一番聞きたいことを、聞けないでいるあたしの代わりに聞いてくれているんだ。
それに感謝すると同時に、さっきからずっと亜里沙まかせの自分が情けないって思った。
「いや。だって俺らは、俺が中3のときに終わってるし」
「でもひょっとして入江さんは、まだあんたへの気持ちが残ってたんじゃない?」
「……何度か、そうかも?って感じた。だから気をつけて、あくまでも普通の先輩後輩として接してたんだ」
入江小花さんは、やっぱり今でも凱斗のことが好きだったんだ。
凱斗に恋している子が、あたしの知らないところで凱斗の隣にいた。
見たこともない、顔も知らない入江さんという人。
その人と凱斗が向かい合って、笑顔で会話している場面が勝手に頭に浮かんでくる。
彼女の顔は、ほとんどのっぺらぼうみたいに真っ白で、想像できない。
でも笑っている。すごく楽しそうに、嬉しそうに頬をバラ色に染めながら。


