どれくらい、そうしていたのか。
ほとんど時間は経っていないんだろうけど、すごく長い時間だったようにも感じる。
泣き続けるあたしの耳に、亜里沙の素っ頓狂な声が聞こえた。
「奏、いるの? ……って、うわなにこれ!」
帰りの遅いあたしを心配して、様子を見にきてくれたんだろう。
亜里沙は予想もしない教室の惨状に目を丸くしている。
「な、なんでガラスが割れてるの!? なんでこんなに散らかってるの!? なんでミケくん、真っぷたつ!?」
「亜里沙……」
「しかもなんで奏、泣いてるの!?」
駆け寄ってきた亜里沙があたしの肩に手を置いて、教室内をグルリと見回しながら騒ぎ出した。
「奏ったら、何したらこんなヒドイ状況になっちゃったの!?」
「あたし、何もしてない。ただホウキで……」
「ホウキで空でも飛んだわけ!?」
「飛んでないよ。ホウキで掃き掃除してたら、3年の問題児グループが来て……」
「えぇ!? 奏、まさかあいつらに何かされたの!?」
「ううん、大丈夫。何もされてない」


