「大丈夫だ。声を出すな」
耳元に、凱斗のささやき声が降ってくる。
その音と一緒に、凱斗の温かい吐息があたしの髪と耳朶に触れた。
―― ドキン……
こんな状況なのに、途端に頬と耳朶がカッと熱くなる。
あたしは凱斗に口を塞がれたまま、ドキドキしながらコクンと小さく頷いた。
「ミケ、見事に真っぷたつじゃん」
「恐怖の伝説もこれで終わりだな」
「なに? 俺達がバケモノ退治しちゃったの?」
ゲラゲラと下品な笑い声がする。
思わずビクッと身を震わせるあたしを落ち着かせるように、凱斗の片腕があたしの背中を強く抱き寄せた。
そして守ろうとするように、体全体で包み込んでくる。
お互いの全身が隙間なく密着して、あたしの心臓がバクバク跳ね上がり始めた。


