「やっべー!」
「あーあー、やっちまったー!」
廊下からバタバタ駆け寄って来る数人分の足音と、声が聞こえてくる。
すると突然凱斗が、すぐそこの戸棚の陰にあたしを抱きしめたまま急いで身を潜めた。
壁にドンッと背中を押し付けられ、あたしは目を白黒させながら顔を上げる。
「か、凱斗?」
「シッ。静かに」
そう言いながら凱斗が、手の平であたしの口を覆った。
彼の手の感触を唇に感じてドキッとするのと、誰かが教室の中に駆け込んでくるのと同時だった。
「おわ! ミケランジェロ死亡!」
「うわー、ガラスも派手に割れてんなー」
「誰だよ、ボール蹴ったの」
「おめーだよ。おめー」
「これ弁償か?」
ここからじゃ誰が来たのか見えないけど、騒いでるグループの声を聞いて、すぐに見当がついた。


