君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 階段をダダーッと駆け下り、息を切らしながら生徒玄関まで走ったあたしの目に、想い人の姿が飛び込んでくる。

 ……あ、良かった、いた! 凱斗!

 軒下でじっと空を見上げている凱斗の手に、あの時と同じ青色の傘が握られているのを見て、あたしの心臓が一気にドキドキ緊張する。

 凱斗、ひょっとしてあたしの事、待っててくれてたのかな?

 嫌でも膨れ上がる期待を胸に凱斗の背中を見つめているうちに、あたしはハッと困ってしまった。

 あ……。こ、これからどうしよう……。

 傘に入れてって言えばいいのかな?

 でもそれだと、あたしの方から凱斗に告白してることにならない?

 いやー、ちょっとそれは。だって一応、あたしにも夢や憧れってのがあってですね。

 伝説的に言っても、男子の方から告白するのが取り決めだし。