「おじさん!」
「出て行ってくれ」
「嫌だ!」
「出て行きなさい! いますぐ出ていけ!」
涙の滲む目であたしを睨みつけながら、おじさんがあたしを追い出そうと手を伸ばしてきた。
その手があたしの体に触れる寸前、横から伸びてきた別の手にパシッと払いのけられる。
おじさんの目とあたしの目が、同時にその人物に向けられた。
「凱斗……」
「あのさ、俺も男だからあんたの気持ち、わかる。すごくわかるよ」
凱斗はゆっくりと、落ち着いた口調でおじさんに話しかけた。
「それでも俺、藤森が生まれてきてよかったって思う。だって間宮のやつは、藤森に救われたんだよ」
「なにを言っているんだ! いいから早く出……」
「間宮はさ、デキる男だから周囲の期待がすごいんだ。しかも期待はエスカレートするし、なのに当然のように結果求められるし、ほんとの気持ちは誰にもわかってもらえなくて、苦しんでた。……まるで、あんたみたいに」
一瞬怯んだおじさんの顔を、凱斗は真っ直ぐに見つめる。
「自分を追い詰めることしかできなかった間宮の世界を、藤森だけが変えてくれたんだ。俺、間宮を救ってくれた藤森に、心の中でずっと感謝してた」


