その泣き顔を見た瞬間、冷たく凍りついたあたしの頭に、燃えるような熱い血がガッと集まった。
自分の中のなにかが完全に切れた音と同時に、あたしは目の前の扉を蹴破るように開いて、部屋の中に夢中で飛び込む。
そして、いきなり侵入してきたあたしを見て驚くふたりに、大声で怒鳴った。
「なんてこと言うの!? 亜里沙の目の前で!」
ハッとしたふたりが、開いた扉の向こうに立っている亜里沙の姿を見つけて、『しまった!』という顔をする。
その顔に向けて、あたしはさらに怒鳴り散らした。
「謝って! 亜里沙に謝って!」
たぶんあたしの形相は、牙を剥いた真っ赤な狼みたいな、とんでもないことになっているだろう。
手足の爪の先まで満ちた怒りの感情が、大爆発を起こしている。
これまでの人生でこんなに怒ったことはない。
まるで体中を暴風雨が荒れ狂っているみたいだ。
「謝って! 謝れ!」
「か、奏、もうやめて。なにも言わないで。あたしはいいから……」
「嫌だ! あたしがよくない!」
後ろから聞こえてきた亜里沙の声に、振り返りもせず即答した。


