君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 ひどい怒鳴り声を聞きながら、あたしはどうすればいいかわからずオロオロした。

 まさかこの状況で、部屋の中にズカズカ入り込むわけにもいかないし。

 他人が、しかも子どもが横から口出しできる話でもない。

 亜里沙はまるで、自分が責められているようにうつむいて、両親が罵り合う言葉をじっと聞いていた。

 きっとこんな言い争いを、毎日のように聞いてきたんだ。

 そのたびに、亜里沙はこんな顔をしていたんだろう。

 まるで荒野にたったひとりで、置き去りにされてしまったような顔を。

『自分は、なにも言える立場にない』

 そう自分自身を責めながら、針のムシロに座らされるように。

 そんな苦しむ亜里沙をよそに、扉の向こうの声はどんどんエスカレートしていく。

 おばさんは気が触れたような金切り声で、ヒステリックに喚き散らしている。

 おじさんは、完全に理性を失った声で怒鳴り散らしている。

 床を激しく踏み鳴らすような音や、壁を殴りつけるような音まで聞こえてきて、もういっそ通報しようかとまで思った。