君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 ―― ガシャーーン!

 突然、ガラスが割れるような大きな音が、どこからか響いた。

 それと同時に、誰かが言い争っているような声も聞こえてくる。

 なんだろうと思う間もなく、亜里沙が素早くソファーから立ち上がって、物も言わずに駆け出した。

「亜里沙!?」

 リビングを飛び出していく亜里沙の後を、あたしと凱斗が慌てて追いかける。

 洋間を3つほど通り抜けた先の、奥の部屋から男女の怒鳴り合う声が聞こえてきた。

「私がどれほど、つらい思いをしてきたと思うの!?」

「よくもそんなことを言えるものだな! それはこっちのセリフだ!」

 相手を非難し合う声。

 扉の前で立ち止まった亜里沙は、とっさにドアノブに手をかけようとして、動きを止めた。

 いつも強くて頼もしい亜里沙のこんな心細そうな顔、いままで見たことがない。

 なんて悲しそうな目……。

「仕事仕事で、私を無視してばかり! 存在意義を否定された私の気持ちがわかる!?」

「君こそ、婿養子にきてから俺がどれほど苦労したか知っているのか!?」