君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 あたしは両手で口元を覆い、頭をガンガン打ちつけられるような衝撃に、必死に耐えていた。

 全身から血の気が引いて、力が抜けて、いまにも体がガラガラと崩れ落ちてしまいそう。

 息を吸うたびに大きく揺れ動く肩を、凱斗がしっかりと掴んで支えてくれた。

 その手の感触にほんの少しだけ心が緩んで、泣きそうになる。

 ……なんて、ことだろう。

 わかった。ようやくいま、理解した。

 亜里沙があんなに、自分の容姿を嫌った本当の理由が。

 雪のような白い肌。甘く柔らかな琥珀色の瞳と髪。彫りの深いはっきりした顔立ち。

 それらはすべて、女の子なら誰でも憧れてしまう、見惚れるほどの美しさ。

 でもそれは亜里沙にとって、まさに呪いのようなものだったろう。

『あたし、鏡が嫌いなの。自分の顔が大嫌い』

 口癖のようにいつも言っていた、あの言葉。

 毎日毎日、鏡を見るたびに突き付けられる、認めたくない現実。

 日々、父親とかけ離れていく自分の容姿を、どんな思いで見ていたろう。

 そんな自分の顔を羨ましがり、称賛する人たちの声を……

 どんな思いで……亜里沙は聞いていたんだろうか……。