不気味なほど静まり返ったリビングに、あたしの手からレジ袋が滑り落ちる音が響く。
自分の手足が一気にサーッと冷たくなっていくのがわかる。
心臓はドクドク最高潮に暴れて、クラクラ目眩がして、気が遠くなりそう。
頬を強張らせながら、苦しい息をするので精一杯だ。
「この顔見てよ。これで生粋の日本人なわけないでしょ?」
亜里沙は自分の顔を、右手の人さし指でツンツンと突っついた。
「浮気相手はどっかの外国人だったみたい。すぐに火遊びは終わったから、お母さんは、まさかお腹の子が浮気相手の子だとは思わずに産んじゃったみたいよ?」
「…………」
「だから戸籍上では、あたしはお父さんの実子。笑えるよね」
アハハッと笑って、亜里沙は首を反らして高い天井を見上げた。
「でも、あたしがどんどんハーフっぽく成長するもんだからさ、どうも様子が変だってことで、数年前に親子鑑定したの。で、ついに衝撃の事実の発覚」
「…………」
「でも世間体とか、仕事上の問題とかあって、なかなか離婚できなくて」
亜里沙は、天井からダンボールの山に視線を移した。
顔だけは笑っていても、とても表現のしようのない、虚ろな目をして。
「だからね、あたしはなにも言える立場にないの」


