君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 どっしりした三階建ての家構えは堂々とした風格があり、赤レンガ調の壁は気品が漂い、敷地の広さは庭を含めて普通の家の五倍はある。

 亜里沙の家を初めて訪れた凱斗が、目を丸くしてつぶやいた。

「おわ、すげえ」

「すごくないよ。敷地が広いと固定資産税が大変なんだから」

 高校生らしくないことを言いながら、亜里沙が玄関のカギをテンキー操作で開けてくれる。

「さ、どうぞ入って」

 やたらと凝ったデザインのドアを開け、亜里沙を先頭にしてあたしたちは家の中に入った。

 天井の高い広々とした玄関を通ると、すぐに大きなリビングが見える。

「あれ?」

 あたしは首を傾げた。

 黒い革製のソファーセットや、暖炉や金時計なんかの豪華なインテリアで飾られた室内に、やたらとダンボールが積み重なっている。

「なにこのダンボールの山。どしたの?」

「ああ、これ? 引っ越しの荷物」

 あっさりそう答えた亜里沙の顔を、あたしと凱斗が凝視した。

「……ひっこし?」

「うん」

「……え? 引っ越し? ……って、ええぇーーー!?」