「あたし、ゴミ捨ててくる」
謝るとも、謝らないとも答えずに、あたしはゴミ箱を持って水飲み場を離れた。
亜里沙との気まずい空間から逃れられて、ホッと息をつく。
首をグルリと回して肩をコキコキ鳴らしながら、階段を降りて生徒玄関へ向かった。
玄関を出てすぐ横の、物置のような建物の奥に大きなポリバケツが何個も置いてある。
その中のひとつに狙いすましてゴミを放り投げようと身構えたら、ヒョイっと横から伸びてきた手にゴミ箱を取り上げられた。
え?っと横を見上げたあたしの心臓が、ドキンと鳴る。
「凱斗」
「よっ」
凱斗があたしの分のゴミをポーンと捨てて、空になったゴミ箱を笑顔で手渡してくれる。
あたしはドキドキしながら受け取った。
「あ、ありがと」
「なんだよ、いつもは藤森と一緒に来るだろ? お前らまだケンカしてんのか?」
「うっ……」
「早く仲直りしろよ」
あたしはモゴモゴと口籠ってしまった。
なんだか、こうも続けて仲直りを催促されると、それはそれで反発したくなるような。
でも、いつまでもこだわっている自分も子どもじみてて、みっともないような。


