心の中でブツブツ文句を言っていたら、リーダーの間宮君にヒソヒソと声をかけられた。
「おい、向坂」
「なに?」
「お前ら、なにトラブってんだ?」
眼鏡の奥の、いかにも優等生っぽい理知的な彼の目が亜里沙を見ている。
あたしはつっけんどんに答えた。
「別に。間宮君に関係ないじゃん」
「今朝からずっと、お前らのせいでクラスの空気悪いんだよ。周りの迷惑考えろ」
「なんであたしに言うの? 亜里沙に言えばいいじゃん」
好きなんでしょ? って言葉をのみ込むあたしに、間宮君は真面目な顔して言う。
「嫌だ。だってあいつ絶対、人の言うこと聞かねえもん」
「……よく知ってるね」
「こっちがひとつの正論で攻めると、あいつは百の変化球返してくるんだよ。性格がゲリラ戦法なあいつより、断然お前の方が話がわかるヤツだ」
「…………」
「お前、ほんとはわかってんだろ? さっさとお前から謝った方が楽だぞ?」
あたしは思わず溜め息をついてしまった。
ほんと亜里沙のこと、よくわかってるんだね間宮君。
しかもさりげなーくあたしをおだてて、こっちから謝罪するよう仕向けるなんて。
さすがリーダー間宮。頭が回るし、人あしらいも上手い。
なかなか亜里沙とお似合いな気がする。


