人と関わり合うって、未来の予測がつかないってことなんだな。
自分ひとりでも明日なにが起こるか予測不能なのに、これに『他人』って要素が加わったらもう、完璧に五里霧中。
それってすごく怖いことだと思う。
足元すら見えない濃霧に包まれた世界なんて、自分のことだけで手一杯だ。
なのに、自分以外のことにも神経すり減らしながら、手探りで進まなきゃいけないんだもの。
もしも道を外していたって気がつかないよ。知らずにそのままずっと進んで行って、その先に……崖があったら?
怖い。すごく怖い。
だって現実に入江さんは、崖に向かって真っ直ぐ突き進んでしまった。
この世界で、人と関わり合いながら生きていくってことは、想像以上に危険で恐ろしいことだったんだ。
もしもひとりで生きられるなら、少しはマシなのかもしれない。
その方が傷つくことも少ないし、危険も軽減するし、得な生き方なのかも。だけど……。
あたしは席に座ったまま、ぐるっと教室の中を見回した。
いつも通りの教室の中に、いつも通りの制服の群れと、いつも通りの机とイスと、いつも通りの窓の外の景色。


