君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 だけど亜里沙は平然とした表情で髪を掻き上げながら、トドメのひと言を言い放った。

「なんの得にもならない偽善と自己陶酔で好きな人を諦めるなんて、マジでバカの極みね。寝ぼけてないでさっさと目を覚ましなさいよ」

「よ、よく言えるねそんなこと!」

 そのひと言で一気に頭に血がのぼり、硬直が解けたあたしは怒鳴りながら亜里沙に詰め寄った。

 胸と胸がぶつかるほど接近するあたしの腕を、とっさに凱斗が「おい!」って掴んで引っ張る。

 凱斗、邪魔! この手放して!

「亜里沙にはわかんないんだよ! 傷ついた人の気持ちが!」

 我を忘れて叫ぶあたしとは対照的に、亜里沙は冷静だった。

 冷静っていうより、冷徹っていうのが相応しいくらい冷たい目をした亜里沙を見てると、逆にムカついてムカついてたまらない。

 怒りの勢いに任せて、あたしは遠慮なく怒鳴り散らした。

「なんせ亜里沙はパーフェクトなスーパー美少女お嬢様だもんね! 傷ついたことなんか、ないんでしょ!? ナンバーワンはそっちじゃん!」

 亜里沙の目尻がビクリと歪んで、一気に吊り上がる。

 自分の容姿を騒がれるのがなにより嫌いな亜里沙に、『美少女』は禁句だ。

 だから普段は、あたしも絶対本人の前ではそんなこと口にしないけれど、知ったこっちゃない!