あれほど悩んで悩んで苦しんで、あげく死んでしまった入江さん。
あの悲しみと不幸を、『自己責任』のたったひと言で片付けようとするなんて!
そんなの納得できない! 絶対、できるわけない!
「そんな冷たいこと言うなんてひどいよ!」
「奏、その同情って本心? それとも偽善?」
「……え?」
夢中になって訴えていたあたしは、意味のわからないことを言われて声を引っ込めてしまった。
偽善? それ、なんのこと?
キョトンとしているあたしを、綺麗な琥珀色の瞳が真っ直ぐ見つめている。
「自殺までしちゃった不幸な女の子を思いやって、自分の幸せを犠牲にして耐え忍ぶあたしこそが悲劇のヒロイン、ナンバーワン」
「……!」
「そんな風に自分に酔ってるんじゃないの?」
声が……出なかった。
あんまりのことに息もできない。頭の中は一面真っ白の大雪原。
目と口をパカッと開いて、そのまんまの状態でずっと凝固しているあたしの姿は、さぞかし間抜けに見えると思う。
でもそんなこと気にする余裕もなかった。
こんなひどいことを、あたしから目も逸らさずに言う亜里沙が信じられない。
……なんで? なんで? なんでよ亜里沙?
さっきからなんで、そんなひどいことばっかり言うの!?


