仕事を終えて、買い物して、大急ぎで帰ってきて、真剣な顔でレシピ検索して、
『この岩塩と特製スパイスがね、味の決め手なのよ。すぐにでき上がるから待っててね!』
って大ハリキリで料理してる。
うまいうまいってベタ褒めして、何杯もおかわりするお父さん。
そんなお父さんを見て、蕩けちゃいそうに幸せそうな顔してるお母さんに……なんて言うの?
『実はあなたの作る料理のせいで、あたしの胃が痛くなるんです。明日からは、お父さんの好きな洋食は作らないでください』って?
……そんなの、無理だよ……。
だから胃が痛くなるギリギリまで、なんとか頑張って食べて、これ以上は危険だって感じたら、それ以上は手をつけない。
でも後でお腹が空くから、買ってきたおにぎりとかをこっそり部屋で食べてた。
それが……バレてしまったんだ。
新しいお母さんに、いっぱい泣かれてしまった。
泣きながら食べ残しをゴミ箱に捨てて、あたしに聞いてくるんだ。
『そんなにあたしのことが嫌い?』
お父さんが、固い表情であたしをじっと見ている。
あたらしいお母さんが、大粒の涙をボロボロこぼしている。


