君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨



 ◯月◯日 ◯曜日 晴れのち曇り
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 今日は、結婚式だった。

 恋人さんが、あたしの新しいお母さんになった。

 結婚式も披露宴も、少人数専門の結婚式場で小さく済ませた。

 新婚旅行も、しないんだって。

 ……あたしがいるから。


 お式が始まる前、お手洗いに入っていたら、ドアの向こうから若い女の人たちのおしゃべりする声が聞こえてきた。


『できるだけ地味婚にしようって、ふたりで決めたんだって』

『ご主人の連れ子さん、中学生って難しい年頃だしね』

『あんまり派手にやったら、やっぱり娘としては、おもしろくないわよねぇ』

『だから新婚旅行も行かないんだって』

『かわいそう。でも娘さんには気を遣わなきゃね』

 女の人たちがお手洗いから出て行っても、あたしはしばらくの間、身動きできなかった。

 地味婚って、連れ子って、難しい年頃って、あたしのこと?

 じゃあ……あたしのせいで、式も、披露宴も、新婚旅行も全部我慢させちゃってたの?

 全然知らなかった。だって相談とか、なにもされてなかったから。

 そんなの申し訳なさすぎる。

 新しいお母さんだって、きっと小さい頃からいっぱい憧れて、この日を夢みてきたはずだ。

 それくらいわかる。あたしだって女の子なんだもん。

 だからせめて、新婚旅行ぐらい行ってほしいって思った。