中尾さんの言葉が、あたしの心を大きく揺さぶった。
本当のこと? それは、入江さんが自殺した本当の理由がわかるってこと?
じゃあ、この日記を読めば……この苦しみから、入江さんの影から、あたしも凱斗も解放されるの?
目で問いかけるあたしに、中尾さんはノートをペラペラとめくって、広げて差し出す。
「この辺りから読めばいいと思います。どうぞ」
あたしは、両手でしっかりとノートを受け取った。
開かれたページには、黒いインクで書かれた、クセのない素直そうな文字が並んでいる。
これが入江さんの文字。今はもういない彼女が、生きていた証のひとつ。
そう考えれば、こんな薄いノートの中の小さな文字のひとつひとつが、すごく重要に感じられた。
心臓がドキドキする。ノートを持つ手に強い動悸が伝わって、震える。
痺れに似たジリジリした緊張が、全身に走る。
いつの間にか速まっていた呼吸を落ち着かせるように、コクリとツバを飲んだ。
そしてあたしの目は、文字を追い始めた。


