ちょっと困った顔で、人さし指を口元に当てながら、ヒョイッとあたしの顔を覗きこむ。
そんな素敵な仕草をされて、あたしの心は午後の陽射しのようにふわりと色めき立った。
浮ついた自分の気持ちが恥ずかしくて、ちょっとだけ凱斗から視線を逸らす。
「意外。間宮くんって優等生タイプだし、恋愛に興味ないのかと思ってた」
「前に体験授業で、近所の幼稚園の運動会の手伝いに行ったことあったろ?」
「ああ、そういえばあったね。そんなこと」
「そのときにさ、年少組の男の子が転んで泣いてるのを見た藤森が、助けもせずに腕組みしながら説教かましてたんだと」
「亜里沙ってば、4歳児相手に……」
「『自分の年齢に甘えるな。困ったときに誰かが必ず助けてくれるなんて幻想を、そんな若いうちから抱くな』って。それ見て間宮のヤツ、えらく感動したらしい」
「……ごめん。今の話のどの辺が感動的なのか、わかんないのってあたしだけかな?」
「安心しろ。俺もサッパリわかんねえから。でも間宮にとっては、鮮烈的な感動シーンだったんだ」
「人の感性って、さまざまなんだね」
「今までの自分にはなかった世界を、コイツはきっと見せてくれる女だって確信したんだとさ」


