「お前んちに行く前、ちゃんと藤森にも、入江の家に行くつもりだって話したんだ。そしたらさ……」
不意に凱斗が、歩きながらしゃべり始めた。
「たぶんお前も、俺と一緒に行くって言い出すはずだって言ってた」
「亜里沙が?」
「ああ。その通りだったな。……なんかすげえ女だよな、あいつ」
苦笑いみたいな感じで、凱斗はちょっと笑った。
「見た目と内面が、あれだけギャップがあるって、マジですげえよ。ほとんど詐欺だよ。そう思わね?」
あたしもつられて笑いながら答えた。
「亜里沙の本性知ってる人は、みんな言うよ。消費者センターに通報レベルだって」
「まるでカモノハシだよな。見た目で油断して近づくと後ろ足で蹴り飛ばされたあげく、毒まで食らう」
「亜里沙本人は、あの見た目を嫌がってるんだけどね」
「間宮のヤツもなー。藤森のどこに惚れてんだか」
あたしは両目をパチパチさせて、無言で凱斗を見上げた。
え? リーダー間宮くんが?
「あ……」
やべ……って顔をした凱斗が、ガリガリ頭を掻いた。
「これ、絶対ナイショな。藤森はもちろん、他の誰にも」


