君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 町を包む空気の色が、ほのかに朱色に色づき始め、アスファルトに映る影の背丈も伸びている。

 道端の街路樹を見上げれば、たっぷりと茂った葉が、傾きかけた太陽に照らされている。

 日の当たる薄い緑と、陰になった濃い緑にクッキリ明暗を分けて、気怠そうに夕刻の風に揺れていた。

 いつもなら見逃しがちな、なんの変哲もない風景が、今日はやけにいろいろとよく見える。

 凱斗が隣にいるからかな?

 あたしの歩調に合わせて歩く濃紺のブレザー姿の彼を、横目でチラリと盗み見た。

 肩先20センチ隣に、凱斗がいる。

 ただそれだけで、あたしの心やあたしの目は、見えなかったものがこんなに見えるようになるなんて。

 今はもういない入江さんも、ついこの前まで、こんな風景を毎日見ていたんだろうか。

 すれ違う柴犬のしっぽの丸みを、かわいいと思ったりしたんだろうか。

 子どもたちのランドセルの色の鮮やかさや、金具がカチャカチャ鳴る音を、懐かしく思ったんだろうか。

 風に乗って流れてくる、どこかの家の晩御飯の匂いを感じて、落ち着いた気持ちになったんだろうか。

 そんなひとつひとつのことが、なんだか特別に意味のあることのように思えた。