そのまま凱斗にリビングで待ってもらって、あたしは自室で制服に着替えた。
それからすぐに入江さんの家へと向かって出発する。
どこか緊張した表情をして、いつもの青い傘を手に持ち、黙々と隣を歩く凱斗にあたしは話しかけた。
「傘持ってるの?」
「ああ」
「雨、降らないんじゃないかな? 降水確率20%だし」
「たぶんな。大丈夫だろ」
降らないと思ってるのに、傘を持ち歩いてる凱斗。
きっとトラウマになっているんだ。持たずにはいられないんだね。
やっぱり、こんな精神状態のままじゃダメだと思う。
「入江さんの家って遠い?」
「いや、ここの隣の学区だからそんなに遠くない」
そうか、凱斗と中学が一緒なんだから、そういうことになる。
気がつかなかった。入江さんの家とあたしの家がこんなに近かったなんて、不思議な巡り合わせ。
そんなことを考えながら、いつも見慣れた近所の道を凱斗と並んで歩く。
ちょうど夕刻の頃合いだから、学校帰りの小学生のグループや、犬の散歩をしている人たちと、何度もすれ違った。


