そんなあたし達を、下校中の周りの生徒たちが興味津々な目で見てる。
うん、ただの相合傘だって特別なことだもんね。
あたし達ひょっとして今、周りからは仲良しカップルに見えてたりするのかも?
そう思えばこうして凱斗が誘ってくれたのは、やっぱりスペシャルにラッキー。
すっごく嬉しい。へへ。
「ありがとう」
あたしは素直にそう言って一歩あゆみ寄り、傘に入りながら凱斗に向かって笑いかける。
「どういたしまして。じゃ、行くか」
「うん」
そして、ふたり並んで雨の中を歩き出した。
ためらいがちに傘をノックしているような、ささやかな雨音が降る。
その密かな音が、あたしの胸の奥の隠したい鼓動のリズムと等しく刻まれる。
……うん。隠したいんだ。
知って欲しいけど、知られたくないんだよ。
だから沈黙が怖いの。
黙っていると、あたしの心臓の音が隣の凱斗に聞こえてしまいそうで。


