それでも落胆しているのが凱斗にバレないように、あたしはうんと明るい声を出した。
「んもー、びっくりしたよ! 告白されるのかと思ってメチャあせったじゃん!」
「勝手に早トチリしたのはそっちだろが」
ちょっぴり傷付くセリフを言いながら、凱斗は笑って近づいてくる。
そしてあたしの真ん前に立ち、大きな傘を差しかけてくれた。
「ほら、早く入れよ。……風邪ひくぞ?」
見上げれば、濃い青色の傘の下であたしをじっと見つめている、屈託のない笑顔。
その目を見つめ返すあたしの胸に、ポッと小さい温かな明かりが灯る。
ああ、やっぱり凱斗は特別だね……。
切ないような、嬉しいような、不思議な痛みが心をキュンと鳴らした。


