「あたしも、凱斗も、ちゃんと、わかってて……」
うつむきながら、懸命にあたしは中尾さんに向かって言葉を吐き出した。
心臓がバクバク鳴って、痛いくらい握りしめる手に汗が滲み出てる。
必死に絞り出す声が震えてるのが、自分でもわかった。
すごく緊張して、怯えてるのを隠そうと勇気をふりしぼってる自分が情けない。
なんでこんなビクビクしてるの?
なんであたし、中尾さんの顔を見て話せないの?
なんでこんな、消えそうに小さい声しか出せないの?
これじゃ、まるで言い訳してるようにしか聞こえないじゃない。
なんで? なんでこの人って、こんな堂々としているの?
まるで自分が被害者本人みたいな顔をして。
なんであたしが、あなたにそんなこと言われなきゃならないの!?
「ちゃんと悩んでるし、ちゃんと苦しんでるし、だから……」
「そういうこと、聞いてるんじゃないんですけど」
必死の思いで立ち向かうあたしの言葉を、中尾さんは簡単に断ち切ってしまった。
どうにか紡ぎ出そうとしていた言葉が途切れてしまって、あたしは思わず中尾さんの顔を見てしまう。
そして、威圧的な彼女の目にビクッとして、オドオド視線を逸らした。


