あたしはなにも知らなかった。
『関係ない人が自殺したってさ、普通泣かないよねえ』
そんなことをのんきに考えて、凱斗と相合傘することしか頭になかった、おめでたい自分。
なにも知らなかったその頃の自分の頭を何度も殴って、怒鳴りつけてやりたい。
ののしって、責めて、責めて、責め続けてやりたい。
「ねえ、奏先輩。これからどうするつもりですか?」
亜里沙の手を振り切って、中尾さんがあたしに向かって一歩進んだ。
「凱斗先輩と、付き合うんですか?」
「…………」
「どうなんですか? 小花のことを知っても、付き合うつもりなんですか?」
罪を糾弾するような口調で、あたしを責める。
入江さんのことを差し置いて、自分たちだけ幸せになるつもりなのか?
中尾さんは、そんなの許されることじゃないって言ってるんだろう。


