「……いっそあんたのその口を、ほんとにゴミ箱代わりにして、このゴミ突っ込んでやりましょうか?」
「なんだ。やっぱりそれ、ゴミじゃないですか」
「あんた、ずいぶん腹黒いんだね。顔の色もずいぶん黒いけど」
「先輩は色白ですね。まるで賞味期限の切れた牛乳みたいで、うらやましいです」
…………。
すごい。
亜里沙と互角に渡り合う人なんて、初めて見た。
バチバチと静かな火花を散らして応酬しているふたりの様子を、つい状況も忘れて見入ってしまう。
見たところ、かなり気の強そうな子だ。
たぶん亜里沙みたいにしっかり者で、人から頼られるタイプなんだろう。
なら入江さんも、中尾さんに頼っていたんだろうか。
凱斗への苦しい想いのすべてを、彼女は打ち明けていたんだろうか。
「あんたのツラの皮って真っ黒で分厚くて、まるで140デニールの黒タイツみたいね。平気でしらばっくれて図々しい」
ズケズケ毒づく亜里沙の毒舌にへこむ様子も見せず、中尾さんはまたあたしへと視線を移した。
「しらばっくれてませんよ。メモを書いて靴の中に入れたのは、あたしです」


