―― カサッ……
指先に感じた、覚えのある感触にビクンッと体が震えた。
途端に全身にサーッと冷たい緊張が走り、ドクドクと鼓動が鳴り始める。
まさかと思って恐る恐る靴の中を覗きこんだら、やっぱり、そこにメモ用紙があった。
「奏、どうしたの?」
靴の中を見ながら青ざめていたら、亜里沙が急いで近寄ってきた。
靴の中のメモ用紙を見つけて、取り出してガサガサ広げる。
そこに書かれていたものは……
『入江小花が自殺したのは、あんたと、凱斗先輩のせいだ』
飾りけのないグレーの罫線。少し丸みを帯びた黒い文字。
コピーしたんじゃないかと思うくらい、すべてがまったく、昨日と同じだった。
でも事情を知ってしまったあたしが受けた衝撃は、昨日の比じゃない。
恐怖といってもいいくらいに動悸は速まり、冷や汗が吹き出て体の芯までひんやりする。
とてもじゃないけどメモ用紙に触ることもできない。
文字の陰に隠れながら自分の存在を誇示して、『知っているぞ』と、あたしを責める人が身近にいる。
誰なの? あたしにこんなことする、あなたは誰?
―― グシャッ!
亜里沙がメモ用紙を握りつぶし、目を吊り上げて叫んだ。
「もう許せない!」
そして生徒玄関から校内へと、小走りで廊下を戻り始めた。


